NHK BShi「ハイビジョン特集 幻の色 よみがえる浮世絵」

一昨年、富山県の旧家から、浮世絵を実際に摺ったときに使われた382枚の版木が見つかった。これまで浮世絵の版木は、使い回されるため、残らないとされてきた。今回の大量の版木の発見は、美術界の常識を覆すもので、大きな注目を集めている。
版木は、幕末期に活躍した歌川国芳、広重、豊国といった当代一流の絵師のもので、中にはこれまで見つかっていなかった国芳の大作まで含まれていた。今、国立歴史民俗博物館が中心となって、版木の分析・研究が進められている。その過程で、わずか7種類の色を摺り重ねる事で、20種類以上の色を生み出す「色差し」という技法から、版木の彫り方一つで、絵に立体感を持たせる工夫まで、明治以降失われてしまった浮世絵の技術が、初めて具体的に検証されつつある。また、どんなに保存状態が良い浮世絵でも、百年以上の歳月が色を変えてしまっているが、版木に残された絵の具を分析する事で、江戸時代実際に使われた絵の具を再現する事が可能となった。
番組では、今回の発見で明らかになった江戸時代そのままの手法で浮世絵を再現し、職人たちが超絶技巧を駆使して生み出した、総合芸術としての浮世絵の姿を明らかにする。

放送は4月12日(日) 午後10:00〜11:30