亀田、作られた“闘拳”伝説…ガッツ「興毅弱い」

ボクシングWBAライトフライ級2位の亀田興毅(19)=協栄=が、8月2日に世界王座決定戦に挑むことが決まり、人気低迷が続いていたボクシングが盛り上がりを見せている。半面、「世界の器かどうかは疑問」「マッチメークが姑息」といった批判の声も噴出している。亀田の実力度とは?
 「亀田は養殖モノ。陣営が丁寧に作ったレールに乗ってここまできた。世界王者の器と断言はできない。ただ、スポーツの世界では実力が足りなくても、周りの雰囲気に乗って活躍以上のものを発揮することはある。亀田もそのタイプでは」
 こう話すのは、元WBC世界ライト級王者のガッツ石松氏(56)。
 亀田の戦績は11戦全勝10KO。少ないキャリアのなかで、元世界王者2人と東洋太平洋フライ級王者もマットに沈めている。戦績だけ見れば立派な“怪物”だ。
 しかし、亀田が倒したのは「勝ったことがない」「デビュー戦」という外国人選手も多く、日本人との対戦は一度もない。倒した2人の元世界王者もピークをとっくに過ぎた「ロートル」だ。
 ガッツ氏は「おれたちの時代は日本人同士で戦って生き残ったやつだけが世界へいった。時代が変わったのだろうが、陣営のやり方はうまい。今回の世界戦も、フライ級ではまず勝てなかっただろう」と辛口なのだ。どうやら簡単には「OK牧場」とはいかなそうだ。
 また、亀田との対戦を熱望する国内のジム関係者は「弱い相手にも不用意にクリーンヒットをもらうことがある。強い相手とやったら倒されるのでは」と分析する。
 今回の世界戦の実現に尽力したボクシング関係者さえ、「立場上ベタぼめしなきゃいけないんだけど、そうもいかないんだよね」と意味深なコメントを残している。
 一方、元WBA・WBC世界ストロー級(現ミニマム級)王者の大橋秀行氏(41)は「亀田は強い。今回も9割方亀田が勝つ。3階級制覇も夢ではない」と断言する。
 ちなみに、亀田は29日の記者会見で「相手が弱いという指摘があるが」という質問に「おれが強すぎるんや。弱いいうんなら同じ相手を連れてきてやったらええ。おれより早く倒せるんか」と語気鋭く語っている。
 姑息との批判もあるマッチメークに関して、「そうなったらボクシングファンを敵に回すと指摘していたが、シナリオ通りになった」と語るのは、自らK−1のリングで闘ったこともある異色の格闘技ジャーナリスト、片岡亮氏。
 亀田フィーバーに沸く関係者は「ついに世界に挑戦」などとはやしたてる。だが、8月2日の試合は、亀田がライトフライ級の世界王者に挑戦するのではなく、同級で31戦30勝(16KO)という強さを誇った王者バスケスパナマ)が1階級上のフライ級への転向を決めて王座が空位になったために組まれる同級1、2位の戦いだ。
 しかも、同級2位の亀田はライトフライ級に転向したばかりで、1位のランダエタベネズエラ)も、1階級下のミニマム級暫定王者から転向したばかり。ランダエタには、亀田が昨年TKOで破った選手に大負けした“実績”もある。
 片岡氏は「ライトフライ級で一度も試合をしたことのない2人が、いきなり王座を争うという奇妙な状況は(協栄陣営の)政治力の賜物だといわれている」と語る。
 “人気先行”とも言われる亀田の試合は、タイトル戦ではなくても大会場がいっぱいとなり、試合もテレビで中継されて高視聴率を叩き出す。
 ボクシング関係者とっては、「ほかの試合に比べて、とても金になる。WBAも同じで、協栄側の意図に沿った試合が実現するよう動いたとして不思議ではない」(片岡氏)といわれる。
 ただ、3階級制覇を狙う亀田が、「まずは、とりやすい階級で王座を狙うのは定石」(ボクシング関係者)との見方も。
 いずれにせよ、亀田が批判を封じ込めるには、誰もが認める強者と戦うしかない。
ZAKZAKより

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